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プロが教える!正しいシロアリ予防のための知識と作業内容
- シロアリ駆除の豆知識
- 2020.01.30
「シロアリが来る前に予防策を講じることはできないのかな?」
「シロアリが来てからでは遅い気がする…病気と同じだよね」
シロアリは「建物の病気」とも例えられることがあるように、いざシロアリ被害を受けると場合によっては深刻な被害に陥ることがあります。
病気と例えるのであれば、発症を未然に防ぐために「予防」ができるのではないかと考えるのは自然な考え方です。
この記事では、害虫駆除に長年携わってきた元駆除業者の作業員が、シロアリ被害に見舞われないための予防策についてお教えします。
大切なわが家をシロアリ被害から遠ざけたいと考えている人は、ぜひ記事の内容を参考にして実践してみてください。
目次
シロアリ予防をすることで得られるメリット
人間の病気と同じことですが、シロアリ予防を実践することによって「シロアリ被害が発生したときのデメリットを最低限のコストで避けられる」というメリットがあります。
- ・シロアリ被害が発生した場合の対策に必要なコストと比較して割安
- ・シロアリ駆除に詳しくない素人でも駆除作業よりは難易度が低い
- ・必要な道具は簡単に購入できる
- ・必要だと感じたらいつでも実践できる
- ・カビによる健康被害を防止することにもつながる
- ・業者に依頼して本格的な予防も可能
シロアリ被害が発生した場合の対策に必要なコストと比較して割安
シロアリ予防をしないということは、いつかシロアリ被害に悩まされる可能性を残してしまうことになります。
もし、シロアリ被害を放置してしまうと、以下のような被害に悩まされることになるかもしれません。
- ・家の柱や壁を食べられてしまう
- ・家具や雑貨をかじられてしまう可能性がある
- ・庭のガーデニンググッズがかじられてしまう可能性がある
- ・シロアリの存在に精神的ダメージを受けてしまう
もちろん、シロアリに食べられたりかじられてしまった物は修理や修繕、買い替えによる原状回復は不可能ではありませんが、当然ながらコストがかかります。
また、シロアリの存在にストレスを感じ、精神的なダメージを受けてしまうと精神科のお世話になってしまう可能性があり、これにも治療費がかかります。
特にコストがかかるのは、シロアリによって建物の重要部分の多くが食べられてしまい、その修繕を行う場合のコストでしょう。
シロアリ予防にもコストはかかりますが、これらの対処に必要なコストと比較すれば安く済むケースが多いです。
シロアリ駆除に詳しくない素人でも駆除作業よりは難易度が低い
シロアリ対策を行うにあたって、何を行うかによって難易度は大きく異なります。
- ・シロアリ予防を行う
- ・シロアリ駆除を行う
大きく分けると「予防」と「駆除」の2種類の対策がありますが、これらを比較すると予防に必要な作業よりも駆除作業の方が素人には難しいのです。
理由は、シロアリの生態が大きく関係しています。
- ・シロアリの巣を特定することは難しい
- ・シロアリの巣がある場所にアプローチすることは簡単ではない
- ・シロアリは種類によっては100万匹クラスのコロニーを形成する
- ・シロアリ駆除に必要な作業は床下などの狭く作業しにくい場所が中心となる
だからこそ、駆除業者の存在がありがたいのです。
予防にも相応の作業が必要になりますが、どちらかといえば知識を持っていれば何とかなる作業が多いため、シロアリ対策に詳しくない人でもきちんと調べれば駆除作業よりは簡単に作業をこなせるのではないかと思います。
必要な道具は簡単に購入できる
シロアリ予防にはいくつかの道具が必要ですが、これらの道具はホームセンター等で簡単に購入できます。
また、必要な道具の中には、すでにご家庭でお持ちの物で代用できる場合もあります。
少なくとも「何かの専門店など、購入できる場所が限られる」ということはありませんので、シロアリ予防を使用と思った時に必要な道具を揃えるのにさほど手間をかけることはないでしょう。
カビによる健康被害を防止することにもつながる
詳しくは後ほど解説する内容に含まれますが、シロアリ予防をするということは同時に「自宅のカビ被害を防止することにつながる」というメリットがあります。
シロアリ予防とカビ予防は密接な関係にあり、カビは住人にさまざまな健康被害をもたらす可能性があります。
シロアリ自体は病気などの健康被害をもたらす可能性はそれほど高くありませんが、カビ被害を防止することにより健康被害の予防にも寄与することになるのです。
必要だと感じたらいつでも実践できる
自力でシロアリ予防を使用と思ったら、必要な道具とある程度の時間を確保すればいつでも実践できます。
シロアリ予防は専門業者に依頼することも可能ではありますが、人の手が必要である都合上どうしても人手の問題で依頼後すぐには取り掛かれないこともあります。
自力でのシロアリ予防であれば住人の都合でいつでも実行可能なので、必要と感じたらいつでも実行できます。
業者に依頼して本格的な予防も可能
シロアリ予防は害虫駆除業者を中心とした専門の業者に依頼することも可能です。
業者に依頼すれば、必要な道具を揃える必要なく、本格的なシロアリ予防を実践してもらうことができます。
どんなサービスであれ、自力で行うよりも専門家である業者に依頼したほうが高品質な結果を期待することができるでしょう。
シロアリ予防に必要な知識や道具
シロアリ予防は、事前準備なくして実践できるものではありません。
シロアリ予防に関わる予備知識
- ・シロアリ予防は前回の作業から5年以内に行う
- ・すでにシロアリ被害が広がっている場合は「予防」ではなく「駆除」が必要
- ・使用する薬剤によって特性が異なる
- ・殺虫剤だけでシロアリ駆除はできない
シロアリ予防は前回の作業から5年以内に行う
シロアリ予防の作業は、基本的に「前回の予防作業から5年以内」に行うことをおすすめします。
これは、シロアリ予防に必要な薬剤の「有効期限」が関係しています。
かつて、「一度シロアリ予防をすれば、半永久的にその効果は続く」といわれていました。
それは、使用する薬剤の効果が強く、その効果が長く続くためであるとされていましたが、その効果はあまりにも強すぎました。
結果、シロアリだけでなく、住人やペットにも悪影響が及ぶことが懸念されたのです。
そのため、薬剤の強さを制限することによって人体への影響は抑えられましたが、同時にシロアリ予防効果も抑えられてしまったため、薬剤の効果は長くても5年でその効果が失われてしまうようになりました。
なので、前回の予防から5年が経過する前に、つまり「前回使用したシロアリ予防用薬剤の効果が切れる前」の段階で再び作業する必要があるのです。
これは、駆除業者が使用する薬剤も同じであり、前回作業が素人によるものでもプロによるものでも、使用する薬剤の有効期限に依存するため、使用した薬剤の有効期限をきちんと把握して、その効果が切れる前に再施工するようにしてください。
すでにシロアリ被害が広がっている場合は「予防」ではなく「駆除」が必要
シロアリ予防は「まだ建物がシロアリ被害に遭っていない」ことが前提条件であるため、「すでにシロアリ被害を受けている建物」の場合にはシロアリ予防のための作業ではなく、シロアリ駆除のための作業が必要になります。
予防はあくまでも「シロアリを寄せ付けないための作業」であるため、すでに建物内にシロアリ被害が及んでいる場合には十分な効果が得られません。
それどころか、シロアリ予防に満足して駆除が遅れてしまうと、建物のシロアリ被害が拡大してしまい、原状回復に手間とコストがかかる結果になりかねません。
もし、シロアリ被害が及んでいる可能性が考えられるのであれば、予防の前に「シロアリ調査」を業者に依頼することをおすすめします。
調査だけであれば無料で請け負ってくれる業者が多いので、以下の変化が見られれば「シロアリがいるかもしれない」と考えて調査を依頼することを検討してください。
- ・建物の床下や基礎部分に「蟻道」(茶色い筋)がある
- ・柱や壁を叩くと空洞音がする
- ・家の中や近くから大量の「シロアリの羽アリ」が飛び出した
- ・雨漏りしていた
使用する薬剤によって特性が異なる
シロアリ予防には「薬剤」を使用しますが、一口に「シロアリ予防用の薬剤」といっても種類があります。
使用する主成分だけでも以下のような種類があり、それぞれに特性が異なります。
効果 | 安全性 | 魚毒性 | ドミノ効果 | 臭い | |
カーバメート系 | ◎ | 〇 | △ | × | 〇 |
ピレスロイド系 | 〇 | ◎ | × | × | △ |
ネオニコチノイド系 | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | × |
フェニルピロール系 | 〇 | △ | × | ◎ | △ |
フェニルピラゾール系 | ◎ | △ | × | ◎ | △ |
使用する環境に合わせて薬剤を選択してください。
殺虫剤だけでシロアリ駆除はできない
この記事をご覧になっている方の中には「シロアリなんて『殺虫剤』があればイチコロじゃん!」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
確かに殺虫剤はシロアリを殺すことができますが、シロアリはコロニーごと駆除しなければ意味がなく、殺虫剤を使用しても巣の奥のシロアリまでは殺すことができず、被害を食い止めることはできません。
なので、いざという時には業者を呼んで駆除する必要があり、そうならないための予防策が重要なのです。
シロアリ予防に必要な道具
シロアリ予防のためには、以下のような道具が必要となります。
- ・シロアリ予防用の薬剤
- ・噴霧器
- ・ヘルメット
- ・ゴーグル
- ・マスク
- ・ヘルメットに取り付けるライト
- ・作業用の服装
- ・軍手、作業用手袋
薬剤と噴霧器
薬剤を使用することで本格的なシロアリ予防が可能となりますが、吹き付けて使用するタイプの薬剤を使用する場合には「噴霧器」があると効率よく作業できます。
作業用の装備
シロアリ予防のために必要な作業は「床下」を中心に普段は近づかないような狭い場所が中心となります。
作業中のケガや薬剤の吸引などを防ぐためにも、全身をガードできる装備を整えましょう。
服装に関しては、できれば「防護服」があると良いのですが、最低でも長袖長ズボンで肌を隠せる、汚れても良い服装を準備してください。
シロアリ予防の作業
シロアリ予防に必要な作業は大きく分けると以下のような内容です。
- ・薬剤を使用した作業
- ・薬剤を使用しない作業
薬剤を使用した作業
シロアリ予防のための「薬剤を使用した作業」は、さらに2種類の方法があります。
- ・バリア工法
- ・ベイト工法
バリア工法
「バリア工法」とは、薬剤を木部や土壌に吹き付けることにより、その部分にシロアリが近寄れないようにする作業のことです。
使用する薬剤の中には人体やペットに影響が出る種類もありますので、使用上の注意をよく確認し、適切な手段で使用してください。
ベイト工法
「ベイト工法」とは、毒エサを土中に埋め込んでシロアリに食べさせ、駆除する作業のことです。
家の外に巣を作られている場合に、近づこうとするシロアリを毒エサにおびき寄せて巣まで毒エサを運ばせることで、巣ごと駆除することができます。
予防よりも駆除に適した手段であり、定期的に毒エサの状態を確認して補充する必要があるため、手間とコストがかかります。
薬剤を使用しない作業
シロアリ予防の作業の中には、薬剤や特別な道具を使用しない方法もあります。
- ・家の周囲にシロアリのエサとなる物を置かない
- ・床下の湿度をできるだけ下げる
- ・外壁の塗料を塗り替える
- ・定期的にシロアリ被害の有無を確認する
家の周囲にシロアリのエサとなる物を置かない
家の周りに「シロアリのエサとなる物」があると、シロアリを引き寄せてしまう可能性がありますので、可能な限り撤去しましょう。
シロアリは「セルロース」を食べるので、木材や木からできている製品はシロアリのターゲットにされてしまいます。
- ・木材
- ・木製製品
- ・段ボール
- ・雑誌
- ・新聞紙
ガーデニングなどの都合上どうしても片付けられないものもあるかもしれませんが、例えば「ガーデニング用の枕木を、木材以外の素材でできているものに交換する」などの工夫は可能です。
床下の湿度をできるだけ下げる
「床下の湿度」を下げることも、シロアリ予防に役立ちます。
シロアリは家の床下から建物内に侵入するケースが多く、湿気を好む習性があるので床下の湿度に注意することでシロアリが寄り付くリスクを減らせます。
以下の道具を使用する方法もありますが、単純に「床下の通気口の前に物を置かない」というだけでも相応の効果が見込めます。
- ・床下換気扇
- ・調湿材
- ・防湿効果のある塗料
床下以外にも、自宅内の水回りの湿気にも注意しましょう。
また、ネズミ被害などで水道管から水漏れが発生している場合は特に注意が必要で、早目に修理することをおすすめします。
外壁の塗料を塗り替える
外壁の塗料を定期的に塗り替えることも、少なからずシロアリ対策になります。
体の小さなシロアリは、ネズミ以上に小さな隙間からでも建物内に侵入することができます。
外壁の塗料が古くなると剥がれてしまい、そこから水気がしみ込んで亀裂が生じやすくなり、シロアリの進入経路を作ってしまいます。
その際、可能であれば「防蟻・防虫効果のある塗料」を使用すれば、より高品質なシロアリ予防になります。
防蟻効果は長くても5年程度で効果が失われるケースが多いので、定期的な塗り替えが重要です。
定期的にシロアリ被害の有無を確認する
可能な限りシロアリ予防のための作業をしていても、そこは人の手によるものですから、どこかにほころびがあるかもしれません。
また、使用する薬剤の効果も永遠に続くわけではありませんし、薬剤の種類や使用環境によっては想定よりも早く防蟻効果が失われるケースもあります。
いずれにしても、想定外にシロアリ被害を受けてしまう可能性は捨てきれません。
しかし、仮にシロアリ被害を受けてしまっても、被害を受け始めてから時間が経過していなければ、それだけ駆除にかかる手間やコストも抑えられます。
「蟻道」などを目印として、自宅がシロアリ被害に見舞われていないかどうか定期的に確認しておきましょう。
まとめ
シロアリ予防を適切な手段で実施することができれば、自宅がシロアリに食べられてしまうことを防ぐことができ、いざという時に高額な出費を強いられるリスクを減らすことになります。
薬剤やその他必要な道具はホームセンター等で購入できますし、予防のための作業に資格は必要ありませんが、やはり「素人が行う作業」と「シロアリ駆除や予防に詳しいプロが行う作業」では作業の質に違いがあることは否めません。
自宅がシロアリ被害に見舞われていなかったとしても、いざという時のリスクを確実に減らすためにはシロアリ予防も駆除業者に依頼して徹底的な予防策を実施してもらうことをおすすめします。
また、すでにシロアリ被害が進んでいると感じている場合には予防策は十分な効果を発揮しない可能性がありますので、シロアリ被害の調査や駆除は専門家である駆除業者に依頼しましょう。