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ベタ基礎でもシロアリ駆除は必要?ベタ基礎でのシロアリ駆除について
- シロアリ駆除の豆知識
- 2020.02.12
「うちは『ベタ基礎』だから、シロアリ被害とは無縁だよ」
「ベタ基礎なら、シロアリ駆除は考えなくていいんじゃないの?」
ベタ基礎の住宅は確かにシロアリ被害のリスクを減らしますが、だからといってベタ基礎の住宅であればシロアリ駆除を全く考えなくて良いというわけではありません。
この記事では、シロアリ駆除に長年携わってきた経験から、ベタ基礎の建物におけるシロアリ駆除の必要性について解説します。
「うちはベタ基礎だから」と高をくくっていた人は、この記事を読んでその考えを正すことをおすすめします。
目次
「ベタ基礎」と「布基礎」について
建物の基礎構造には、大きく分けて「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類があります。
ベタ基礎とは?
「ベタ基礎」とは、建物の立ち上がっている部分と床一面を鉄筋入りのコンクリートで一体化し、大きな面で建物の重みを支える構造です。
大きな面で支えたほうが建物の荷重を分散できるため、後述する「布基礎」よりも耐震性が高いのが特徴です。
近代に発生した大地震以降、日本でもこの形式が普及しています。
また、建物に湿気が伝わりにくくなることで木材の腐食リスクを減らし、コンクリートの厚みによりシロアリ被害を防ぎやすくなるといった特徴も持ち合わせています。
- ・ベタ基礎は耐久性が高い
- ・ベタ基礎は木材の腐食を防ぐ
- ・ベタ基礎はシロアリ被害を防ぐ
布基礎とは?
「布基礎」とは、鉄筋が入っているのが立ち上がっている部分のみであり、ベタ基礎が面で建物を支える構造であるのに対して、布基礎は「点で支える構造」となっています。
立ち上がっている部分以外は地面の上に防水シートを敷いて、その上にコンクリートを施設する構造となっており、ただしそのコンクリートの厚さはベタ基礎よりも薄くなっています。
使用するコンクリートと鉄筋の量が少ないのでベタ基礎よりも安いコストで施工できるというメリットはありますが、耐震性や木材の腐食リスク、シロアリ被害のリスクなどの点に関してはベタ基礎に劣ってしまいます。
ベタ基礎ならシロアリ駆除は必要ない?
基礎部分のコンクリートが厚く、シロアリ被害の点においてメリットの大きなベタ基礎は、ではシロアリ駆除は全く必要ないのかといえば、そうではありません。
ベタ基礎でもシロアリの進入を許す可能性がある
実際、私が現役の駆除会社の職員だったころには、ベタ基礎の住宅でシロアリ調査を請け負い、実際にシロアリ被害が進んでいたという事例もありました。
その際、依頼人の方には「ベタ基礎ならシロアリ被害は起きないって聞いていたのに?」という話を聞かされました。
ですが、その現場でもシロアリ被害が起きていたことは間違いなく、そう考えると「ベタ基礎の住宅でもシロアリが侵入する可能性がある」ということがわかります。
ベタ基礎の場合だとシロアリはどこから侵入するのか?
シロアリ被害が発生したということは、つまり「どこからかシロアリが侵入した」ということでもあります。
ベタ基礎の建物の場合だと、シロアリは以下の進入経路から建物内に侵入して被害をもたらす可能性があります。
- ・コンクリートの隙間
- ・老朽化した金具の隙間
- ・配管や配線の隙間
- ・基礎部分以外の場所
コンクリートの隙間
ベタ基礎はその構造上、立ち上がりと床板との継ぎ目に隙間が生じやすいという特徴があります。
外見上は隙間なく覆われているように見えるのですが、実際にはごくわずかな隙間が生じているということも少なくないのです。
シロアリの体長は数mm程度、人間にとっては取るに足らないような隙間であってもシロアリにとっては十分な通り道となります。
老朽化した金具の隙間
ベタ基礎も建築構造の関係上どうしても「金具」を使用しますが、金具は経年劣化などを起こします。
すると金具は腐食などを起こし、劣化した金具は接続部分にわずかな隙間を生んでしまうのです。
前述の通り、身体の小さなシロアリにとっては人間が肉眼で捕らえられないようなわずかな隙間であっても通り道にできるため、そこからシロアリが侵入して被害をもたらす可能性があります。
配管や配線の隙間
建物の基礎部分には「配管」や「配線」が通っていますが、そこからシロアリが侵入する可能性があります。
もちろん、そうした部分は害虫などの進入を防ぐような構造になっているのですが、シロアリにかじられるなどして隙間が生じれば、そこから侵入される余地を生むことになるのです。
基礎部分以外の場所
ベタ基礎の住宅であっても、「それ以外の部分」からシロアリが侵入することを完全に防ぐことは難しいです。
例えば「空いている窓」や「外壁のひび割れ」といった場所から余裕で建物内に侵入することができます。
「シロアリ=床下から侵入する」というイメージをお持ちの方も多いですが、実際には床下のみが進入経路になるわけではなく、建物のさまざまな隙間から建物内に侵入する可能性があるのです。
ベタ基礎の建物をシロアリから守るには?
前述の通り、布基礎と比較するとベタ基礎の建物はシロアリに対する防御能力が高いですが、完全にシャットアウトできるわけではないことも事実です。
ベタ基礎であってもシロアリの被害が進めば駆除の必要がありますが、できれば被害が発生するリスクを少しでも減らすことをおすすめします。
- ・土壌に防蟻効果のある薬剤を散布する
- ・床下の換気を行い、湿度が高くなるのを防ぐ
- ・建物の周囲からシロアリに食べられる木材や紙製品などを撤去する
- ・定期的に蟻道などの有無を確認し、シロアリ被害を最小限に抑える
「シロアリ駆除」と比較すると「シロアリ予防」は素人でも比較的難易度が低い作業であるため、業者に依頼しなくてもある程度のことは可能です。
しっかりとシロアリ予防したいのであれば、業者への依頼も検討してください。
シロアリとコンクリートに関する豆知識
最後に、ベタ基礎の中心的な建材である「コンクリート」とシロアリの関係性について解説します。
シロアリはコンクリートに穴を開けることができる?
シロアリの主食は枯れた木材であり、基本的に柔らかい木質の対象を食べて生活しています。
では、コンクリートに関してはどうなのかといえば、必要に応じてコンクリートの細かい粒を取り除いて穴を開けること自体は可能です。
なお「ギ酸でコンクリートを溶かす」というのは間違った説です。
シロアリは積極的にコンクリートをかじるわけではない
ただし、シロアリはそれほど積極的にコンクリートなどの固い建材をかじるわけではありません。
そもそもシロアリはコンクリートを食べるわけではありませんので、よほど「コンクリートくらいしか、かじるものがない」といった状況にでもならない限り、そこまでコンクリートに執着することは考えにくいです。
コンクリートの先の木材を狙うということは考えられる?
では、コンクリートの先にシロアリの大好物である木材がある状況であれば、食料に到達するためにコンクリートに穴を開けるのかといえば、それも考えにくいです。
- ・シロアリはコンクリートの先に木材があることを知らない
- ・穴を開けるよりも「隙間を探す」ほうが簡単
前述の通り建物には人間が気が付かないような隙間がいくらでも生じますから、分厚いコンクリートを貫通するよりも隙間を探す方がはるかに苦労が少ないです。
まとめ
ベタ基礎の建物はシロアリに対する防御能力が高いとはいえ、シロアリの進入を完全に防ぐことはできません。
しっかりとシロアリ対策をしておくことと、万が一シロアリ被害が進んでいれば被害が少ないうちに早めに駆除してしまうことをおすすめします。
シロアリ駆除は素人には簡単なことではありませんので、完全駆除を実現するためにもシロアリ駆除は専門家である駆除業者に依頼しましょう。