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羽アリの「シロアリ」と「黒アリ」の違いは何?2種類の羽アリの違いについて解説
- シロアリ駆除の豆知識
- 2019.11.06
一般的に「アリ」と呼ばれる生き物は、大別すると「シロアリ」と「黒アリ」の2種類が存在します。
これらのアリに共通する特徴の1つに「羽アリとなって飛ぶことができる」という点があるのですが、もし目の前に羽アリがいるとして、果たしてシロアリなのか黒アリなのか、違いは何なのかがわからなければ対処する必要性や方法がわかりません。
そこで、羽アリのシロアリと黒アリの違いについて解説します。
羽アリとは?
まず、羽アリの基本的なことについて解説します。
アリの種類ではない
中には羽アリを「特定のアリの一種」と勘違いしている人もいるのですが、固有にそうした種類が存在するわけではありません。
羽アリは、シロアリや黒アリが巣から旅立つために羽を持った個体のことをいいます。
何のために羽を使って巣立つの?
アリが羽アリとなって巣を離れる理由は「新しい巣を作るため」です。
アリの種類によって時期は異なりますが、春から秋にかけてアリたちは新しい巣を作るために「つがい」を作り、新天地を目指します。
多くの場合は「巣の中の個体数が多くなった」「巣に危害が及んだ」など、住環境に何らかの問題を抱えたコロニーから女王候補となる羽アリが巣立ち、つがいとなるオスアリを見つけたら地面に降り立って新しい巣を形成し始めます。
羽アリにはシロアリと黒アリの2種類がいる
「ハチ」と違って羽アリは基本的に人間に対して攻撃など危害を加えることは少ないのですが、では、羽アリを見つけても放置して問題ないのかといえば、そうでもありません。
シロアリと黒アリ、両方とも羽アリが発生する
一般的に羽アリと呼ばれている、または羽アリだと勘違いされている個体は、以下のように分けられます。
- ・シロアリの羽アリ
- ・黒アリの羽アリ
- ・蛾の仲間
- ・コバエの仲間
蛾やコバエの仲間は羽アリではありませんが、小さな個体が羽アリであると勘違いされることがあります。
一番の問題は「シロアリの羽アリ」です。
シロアリと黒アリは厳密には異なる生物群なのですが、どちらも「羽を持ち、飛行能力を有する」「繁殖のために新しい巣を作るために行動する」「見た目が似ている」という点が挙げられます。
重要なポイントを見極めるための知識を持ち合わせていなければ、目の前に羽アリがいたとしても、厳密にどの生き物であるのか判別することは難しいでしょう。
シロアリは「住宅の天敵」である
さて、羽アリの正体がシロアリだったとして、何が問題なのかといえば、シロアリの生態、厳密にはその「食性」が関係しています。
- ・主食は「セルロース」
- ・セルロースは植物繊維
- ・木材はセルロースが豊富である
- ・建物のほとんどは木材が使用されている
シロアリの主要な食料は「セルロース」という、植物の繊維成分です。
木材はこのセルロースが豊富に含まれており、自然界では枯れた木々を分解することで生態系に貢献している存在ではあるのですが、人間にとっては極めて害悪となる特徴です。
日本の住宅の大半には建材として木材が使用されており、シロアリの食害の対象になります。
昔から「シロアリは住宅の天敵」と表現されることが多く、シロアリによって建物の木材などが食害を受けた被害が数多く報告されています。
シロアリの恐ろしいところ
さて、「アリ」というと「小さな虫」というイメージが強く、人間社会でも小さな存在や非力な存在の代名詞として用いられることも少なくありません。
シロアリも体が小さく、ライオンなどの大型動物と比較すると脅威に感じない人も多いのではないかと思いますが、シロアリにはさまざまな恐ろしい特徴があります。
- ・1つのコロニーに数万~100万もの数が存在する
- ・コンクリートや金属、ゴムなどもかじることができる
- ・繁殖力が高い
- ・警戒心が強く、危険に対して敏感である
- ・乾燥に弱いが、「蟻道」を作ることで移動経路を確保できる
- ・建物倒壊の原因となる可能性が高い
とくに「建物崩壊の原因となる可能性が高い」という点が大きな問題となります。
シロアリは建物の柱など建材である木材を容赦なく食害し、木材内部は外見からは想像できないほどに食い散らかされて数々の空洞を形成します。
内部が空洞になってしまった建材は、建物の耐久性を急激に低下させてしまうのです。
もし、そんな状態で大きな地震が発生したら、その建物は耐えられるでしょうか?
実際、過去に日本で発生した大地震で倒壊した建物の多くがシロアリ被害を受けていたという調査結果が出ています。
地震大国である日本において地震に対する耐久性を低下させるシロアリの脅威は、決して無視できない存在なのです。
シロアリと黒アリの違いと見分け方
シロアリと黒アリは、どのような違いがあるのでしょうか?
シロアリと黒アリの生物としての違い
シロアリと黒アリは、簡単なところで以下のような違いがあります。
シロアリ | 黒アリ | |
分類 | 昆虫網 ゴキブリ目 シロアリ科 |
昆虫網 ハチ目 アリ科 |
主食 | 枯死した植物 | 基本は肉食 |
成長過程 | 不完全変態 | 完全変態 |
生物学上は他にも細かな違いがあるのですが、これだけ見るだけでもシロアリと黒アリが生物として全く異なる存在であることがわかります。
ただし、「真性社会の社会構造である」「女王アリを中心としたコロニーを形成する」など、生態において共通する部分も多いという点は確かにあります。
シロアリと黒アリの見た目の違い
羽アリを見つけたとして、果たしてそれがシロアリなのか黒アリなのか、素人でも判断する方法としては「見た目の違い」があります。
体が小さいので捕獲してじっくり観察しないとわかりにくい部分も少なくありませんが、少なくとも羽アリの正体を知るうえで重要な情報源となるでしょう。
シロアリ | 黒アリ | |
羽の形 | 4枚とも同じ | 前後で差がある |
羽のとれやすさ | とれやすい | とれにくい |
触角の形 | 数珠状 | 「く」の字に曲がっている |
腰のくびれ | ない | ある |
複数の項目を確認出来たら、羽アリがどちらであるかを高い確率で判別できるでしょう。
シロアリの脅威
次に、シロアリが飛来した場合の脅威について解説します。
- ・建物の資産価値が低下する
- ・建物の修繕に費用がかかる
- ・建物の地震発生時等の倒壊リスクが上昇する
- ・心理的な問題が発生する
建物の資産価値が低下する
シロアリの食害を受けた建物は、そうでない場合と比較して建物の資産価値が大きく低下する可能性があります。
資産価値低下の程度はケースバイケースではありますが、持ち家の場合だと自身の総資産に大きな悪影響を受ける可能性が高く、早目に対処しなければならないことがよくわかります。
建物の修繕に費用がかかる
シロアリの被害を受けている状態を放置すれば、さまざまなリスクを抱えることになります。
小規模の被害であればまだしも、シロアリの被害がスタートしてから時間が経過している場合、食害がかなり進行している可能性が高くなります。
補修すること自体は可能ですが、当然ながら「費用」はかかります。
シロアリ被害を長年放置してしまっている場合だと、補修にかかるコストもそれなりの金額になるでしょう。
建物の地震発生時等の倒壊リスクが上昇する
前述のとおり、シロアリによる被害を受けている住宅は、地震などの自然災害が発生した際の倒壊リスクが格段に上昇します。
もし、建物倒壊時に家の中に人がいる場合、「圧死」は免れないでしょう。
建物の補修はお金を払えばなんとかなりますが、失われた人の命はいくらお金を積んでも取り戻すことはできません。
大型地震の発生も起こり得る日本において、地震に対する防御能力を損なうシロアリ被害を放置できないことは明白なのです。
心理的な問題が発生する
上記のような被害のほかにも、人によっては「心理的な問題」を抱える可能性も否定できません。
- ・「シロアリがいる」ことへの心理的なストレス
- ・シロアリ以外の害虫・害獣に対する警戒心やストレスが強まる
- ・「早く何とかしなければ」という焦りを感じる
シロアリ被害に対して素早い対応をすること自体は決して悪いことではないのですが、あまりに焦ってしまうと「悪質な駆除業者」にひっかかってしまう可能性が心配です。
シロアリ駆除を依頼する場合には、悪質業者を避けて、優良な業者を複数社比較して、最適な業者を選定してください。
黒アリの脅威
羽アリの正体が黒アリの場合だと、シロアリほど脅威に感じないことが多いと思います。
実際、黒アリは私たちの生活において最も身近な昆虫の一種であり、一般的に「害虫」であるという認識は少ないです。
しかし、羽アリが黒アリであった場合でも、全く脅威が発生しないというわけではないのです。
- ・建物に被害を及ぼす可能性がある
- ・家電製品や自動車の中に侵入される可能性がある
- ・噛まれる可能性がある
- ・毒を持つ種類もいる
建物に被害を及ぼす可能性がある
アリの中で「建物に害をなす」となるとシロアリを思い浮かべる人も多いですが、実は黒アリもときには建物に害を及ぼす可能性があるのです。
黒アリは基本的に肉食であり、シロアリのように木材を食べることはしませんが、「巣材」として木材の一部を削って持って行ってしまうことがあります。
削られた木材は当然ですが耐久性を低下させてしまいますので、シロアリ同様に建物へのダメージを考慮しなければなりません。
家電製品や自動車の中に侵入される可能性がある
黒アリは、「家電製品」や「自動車」の内部に侵入することがあります。
こうした精密機械の内部に侵入した黒アリは、内部の配線をかじったり、一部の黒アリは機械油を好む習性があるためその場に巣を作る可能性があるのです。
いずれにしても、機械の正常な動作を妨げる可能性がありますので、避けたいところではあります。
噛まれる可能性がある
黒アリは小さい体に強い「あご」を持っており、ときに人を噛むこともあります。
小さな子どもやペットが噛まれることもあるので、決して無視することはできません。
毒を持つ種類もいる
最も脅威となり得るのが「毒を持ったアリ」です。
日本に生息している、あるいは日本で確認されたことがある有毒のアリは、例えば以下の4種類が存在します。
- ・オオハリアリ
- ・アミメアリ
- ・アカカミアリ
- ・ヒアリ
この記事を書いているのが2019年11月、直近で「ヒアリが日本に定着したか!?」というニュースが話題となっているのを覚えています。
これらのアリから毒を受けると、場合によってはハチ毒のように「アナフィラキシーショック」を起こして命に関わることもあります。
大量の「シロアリの羽アリ」を見かけたら要注意
羽アリの中でも特に注意したいのが「シロアリの羽アリを、自宅近くで大量に見かけた場合」です。
家からシロアリが大量に出てきたということは?
自宅近くでシロアリの羽アリを大量に見かけた場合、それは「あなたの家からシロアリが発生した」という可能性が高いのです。
このケースで想定されるのが「あなたの家がすでにシロアリ被害を受けている」ということになります。
羽アリはコロニーの規模が大きくなったときに発生するため、すでに家の中はシロアリの被害が拡大した後である可能性が高いのです。
早めに駆除業者に相談を
前述のとおり、シロアリ被害を放置すれば建物の資産価値はさらに下がり、地震が起きた時の倒壊リスクが高まります。
これ以上、シロアリの被害を拡大させないためには、早目に駆除業者に連絡して駆除してもらう必要があります。
まとめ
羽アリはシロアリと黒アリの2種類がいて、全く異なる生き物ではありますが、どちらにしても何らかのリスクが発生する可能性は捨てきれません。
特にシロアリの羽アリが飛来した場合には、自宅がシロアリの被害を受ける、あるいはすでにシロアリの被害が拡大した後である可能性があるため、早目に業者に連絡して被害の調査と駆除をしてもらうことをおすすめします。