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羽アリの大量発生に要注意!シロアリと黒アリで全く異なる危険性
- シロアリ駆除の豆知識
- 2019.11.05
ある時期になると「羽アリ」の大量発生を目撃することもあるでしょう。
このとき、飛来した羽アリが「シロアリ」か「黒アリ」かによって、その後のリスクに大きな変化が発生するのです。
そこで、羽アリが大量発生する原因や、羽アリの種類によって異なるリスクについて解説します。
目次
羽アリが発生する理由と時期
まず最初に、なぜ羽アリは起こるのかについて解説します。
繁殖が目的
羽アリが飛来してくるのは、アリが「繁殖」を目的として行動しているためです。
アリたちは、例えば以下の条件が発生した場合において、羽アリとなって移動を開始します。
- ・1つの巣にアリが多くなり過ぎた
- ・巣に何らかの危険が及んだ
- ・その他、何らかの理由で巣の維持が難しくなった
人間も同じように、家族が増えたり家や周辺地域に何らかの問題が発生すれば引っ越しをすることが多いように、アリもまた住処や住環境に何らかの問題が発生した場合には住処を変えなければなりません。
メスのアリが「女王アリ」の候補となり、つがいのオスのアリを見つけて巣の外に出ます。
無事につがいとなるオスが見つかったら、地面に降りて新しい住みかとなる巣を作り始めます。
羽アリが発生する時期
羽アリが発生する時期は厳密には決まっておらず、一般的に春から秋にかけて羽アリが発生すると考えられています。
住処を変えなければならない理由の発生は特定の季節にのみ発生するものではなく、さまざまな巣からさまざまなタイミングで羽アリが発生するからです。
とはいえ「大量発生が起きやすい時期」というものは存在します。
厳密には、アリは種類によって「群飛が発生しやすい時期」があり、例えばシロアリの場合だと種類ごとに以下のタイミングで群飛が発生しやすくなります。
- ・ヤマトシロアリ:4~5月
- ・イエシロアリ:6~7月
- ・アメリカカンザイシロアリ:6~9月
群飛時期がかぶる種類もいくつか存在しますので、羽アリが大量発生した時期だけでは判別できないケースも多いですが、羽アリの種類を知る情報源として参考程度にはなるでしょう。
羽アリの種類
一口に羽アリといっても種類があり、それぞれに生態が全く異なります。
シロアリ
シロアリは「住宅の天敵」「害虫の代名詞」ともいえる、人間にとって害悪となりやすい存在です。
- ・実は「ゴキブリ」の仲間
- ・主食は枯れた植物、セルロースという成分
- ・1つのコロニーに100万匹のシロアリが存在することもある
- ・湿気を好み、乾燥が苦手
- ・自然界では「森の分解者」として生態系における重要な役割を果たす
- ・地球上で最も数の多い昆虫であるといわれている
人間にとって害悪なのは、シロアリの主食が「セルロース」という、木などの植物に含まれている植物繊維(炭水化物)であることです。
自然界では枯れた木々を分解することで生態系における重要な役割を果たしますが、住宅の重要部分となる木材も彼らの食料の対象になるため、食害によって建物が被害に遭うことが厄介な点となります。
黒アリ
黒アリは一般的にアリと呼ばれている種類であり、見た目と名前こそ似ていますがシロアリとは全く異なる生き物です。
- ・実は「ハチ」の仲間
- ・基本的に肉食だが、種類によって食性が異なる
- ・さまざまな害虫の天敵として利用価値が高い
- ・噛みつきや毒性などで人間に害を与える種類も存在する
- ・日本には280種類以上、世界中に1万以上の種類が存在する
- ・その社会性などは組織論などにも取り入れられている
日本人にとってもなじみの深い昆虫の一種であり、基本的に駆除の対象にはなりませんが、一部毒性の強い「ヒアリ」などの種類が問題視されるケースも少なくありません。
ちなみに食性は肉食が中心となるため、ときにシロアリも捕食対象になることがあります。
シロアリと黒アリの見分け方
シロアリと黒アリは「アリ」という名称こそ同じですが、生物学上は全く異なる生物です。
そのため、外見上だけでも以下のような違いがあります。
シロアリ | 黒アリ | |
羽の形 | 4枚とも同じ | 前後で差がある |
羽のとれやすさ | とれやすい | とれにくい |
触角の形 | 数珠状 | 「く」の字に曲がっている |
腰のくびれ | ない | ある |
もし、可能であれば大量発生した羽アリを数匹ほど捕獲して観察してみてください。
体が小さいので判別が難しいケースもありますが、判別ができれば駆除の必要性の有無について重要な情報源となります。
シロアリが大量発生する2つの経路
多くの黒アリは大量発生しても見た目に不快なだけで問題視されることは少ないですが、飛来したのが「シロアリ」の場合だと大問題になることもあります。
そんなシロアリの羽アリの大量発生ですが、発生経路で分けると以下の2つに分けられます。
- ・どこからか飛来してくる
- ・家の中から発生する
どこからか飛来してくる
1つ目の経路は「どこからか飛来してくる」というケースです。
どこかの巣に問題が発生し、新しい巣を作るためにどこからか飛んできたというパターンです。
シロアリの場合はそれなりに重要なことであると考える必要がありますが、「家の中から発生した」というケースと比較するとそこまで深刻さはありません。
家の中から発生する
問題なのは「家の中から発生する」という経路です。
要するに家の中がシロアリの巣になっていて、そこからシロアリが羽アリとなって飛び去ろうとしているというケースとなります。
前述のとおり、羽アリは新しい巣を作るために群飛するため、家の中から羽アリが発生したということはすでに家の中がシロアリの被害を大きく受けている可能性が高いということなのです。
速やかに駆除などの対処が必要になるでしょう。
外から来た羽アリへの対処法
シロアリの羽アリが外から来たということは、まだ家の中はシロアリ被害に遭っていないということですが、もしシロアリに建物内に侵入されてしまえば食害の被害に遭うことは明白です。
なので、いかにしてシロアリを建物内に侵入させないかが重要なポイントになるのです。
- ・窓を開けない
- ・網戸で対策
- ・光をもらさない
- ・殺虫剤はNG
- ・掃除機で吸う
窓を開けない
まず、羽アリの侵入経路になる「窓を開けない」ことです。
体の小さなアリはさまざまな場所から侵入することが可能ですが、わざわざ侵入経路を作ってしまう必要はありません。
窓を開けていればそこから容赦なくシロアリは侵入できますので、特に羽アリが大量発生しやすい時期には窓の開け閉めに十分注意してください。
ただし、羽アリが発生する時期は気温が高い時期でもありますので、窓を閉めっぱなしにしては暑いですし、空気の入れ替えも必要不可欠です。
なので、窓を開ける際には必ず「網戸」を閉めるなどして、羽アリが室内に侵入できないようにしましょう。
網戸の修理や交換をしておく
網戸を閉めていれば羽アリは入って来れないと思われるかもしれませんが、実は絶対的にリスクをゼロにできるというわけではありません。
網戸の目が大きいと、そこから羽アリが入ってくる可能性があるのです。
また、網戸に破れや破損などがあると、そこも羽アリの侵入経路になってしまい、シロアリの侵入を許してしまう可能性があります。
なので、網戸の網目が大きい場合には網を目の細かいものに交換し、破損している箇所があれば修理または網戸自体の交換を行いましょう。
応急処置として、破れや破損個所に「テープ」を使って隙間を埋めておくなどの対処も羽アリ対策として有効です。
光をもらさない工夫をする
羽アリの大量発生への対策として、窓から「光をもらさない」ことも重要なポイントになります。
羽アリは光に向かって飛んでくる習性があるので、夕方から夜間にかけて室内の明かりが窓からもれると、それに向かって羽アリが大量に飛んでくる可能性が高いのです。
なので、室内の電気をつける際には「カーテン」を閉めて、しっかりと遮光対策をしておきましょう。
また、カーテンも遮光性の高いものを選ぶと、羽アリの大量発生に対処できる能力が高くなります。
殺虫剤の使用はNG!
さて、それでも羽アリは飛んでくる可能性がありますし、現に目の前に羽アリが大量にいるのであればそれを放置することはできません。
それこそ、羽アリの正体がシロアリであれば速やかに対処すべきですが、ここで「殺虫剤」を使用することは絶対に避けてください。
確かに殺虫剤にはシロアリを殺す力がありますが、羽アリのシロアリは完全に駆除しないと最初は数匹から最終的に何万匹にまでコロニーを拡大されてしまう可能性があります。
問題なのはシロアリが刺激に敏感であり、殺虫剤をまかれると速やかに逃げてしまうことです。
「逃げるのであればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、避難したシロアリが建物の別の場所から侵入する可能性を考慮しなければなりません。
確実に駆除するためには、殺虫剤の使用は避けなければならないのです。
掃除機で吸うのがおすすめ
では、どのような方法で羽アリを駆除すべきかといえば、「掃除機」を使用することがおすすめです。
掃除機は羽アリを一気に吸い込むことができ、逃げ場がないのでそのまま処分することができます。
ちなみに、掃除機で吸われた羽アリの多くはその際の圧力で死んでしまうので、掃除機から逃げられる心配はほとんどありません。
掃除機を使えない場所の場合、ポリ袋などを羽アリが集まっている場所にかぶせて捕獲するのがおすすめです。
シロアリの大量発生は「家の中から発生」した可能性が高い?
羽アリのシロアリが、もし自宅内や自宅近辺で大量発生した場合、そのシロアリたちはどこかから飛んできたのではなく、あなたの家の中から発生した可能性を強く疑う必要があるかもしれません。
大量に飛んでくることは珍しい
そもそも「大量発生している」のであれば、遠くからやってきたよりも、近くで発生していることの方が、確率的には多くみられる現象です。
遠くから飛んできた可能性もゼロではありませんが、大量にシロアリの羽アリが発生しているのであれば、自分の家から発生した可能性を強く疑っておいて損はありません。
家から発生した=すでにシロアリの被害は大きいかも?
前述のとおり、羽アリが巣から飛び出すのは、巣やコロニーに何らかの問題が発生した場合です。
そして、あなた自身がシロアリ被害を自覚していなかったということは、シロアリの巣に対して何らかの攻撃を加えたということは考えにくいです。
ということは、コロニーの規模が大きくなり過ぎたことが原因である可能性が高いです。
コロニーの規模が大きいということは、すでにシロアリによる食害が広く進んでしまっている可能性が高いということでもあります。
シロアリ被害が進んでいるかもしれない証拠は?
もし、以下の状況を自覚している場合は、シロアリがその建物に被害を及ぼしている可能性が高くなります。
- ・前回のシロアリ防除から5年以上が経過している、またはシロアリ防除をしていない
- ・「蟻道」がある
- ・床がきしむようになった
- ・壁や柱を叩くと空洞音が聞こえる
- ・家の隅にアリの羽や木くずが落ちている
シロアリ防除に使用される薬剤の効果は5年ほどで切れてしまいますので、それ以降は再施工しない限りシロアリに対する防御力は低いままです。
シロアリ被害が進行するほどに「床のきしみ」や「壁・柱の空洞音」が大きくなるため、以前と比較して症状がひどくなっている場合には特に警戒が必要です。
シロアリ被害を自覚したら早めに駆除を依頼しよう
もし、シロアリによる被害が自宅に及んでいると感じたら、早目に対処する必要があります。
- ・慌てずに対処する
- ・自力よりも業者への依頼が安全
- ・業者はきちんと選定する
- ・悪質業者にひっかからないように注意する
慌てずに対処する
シロアリ被害が進行していれば速やかに対処する必要がありますが、慌てずに行動することが最優先です。
前述のとおりシロアリは警戒心が強いので、例えば「殺虫剤を使用する」なんてことをすれば逃げられてしまい、周辺の建物にも被害が拡散してしまう可能性があります。
その他、素人判断で適当な対策を講じたとしても奏功しませんし、被害の拡大を防ぐことは極めて難しいといえます。
自力よりも業者への依頼が安全
シロアリの駆除が必要になる場合、「自力で駆除する」か「業者に依頼する」かの2択に大別されますが、害虫駆除の専門家としては自力でのシロアリ駆除はおすすめできません。
理由は以下のとおりです。
- ・「完全駆除」が難しい
- ・そもそもシロアリがどこに潜んでいるのかわからない
- ・作業に手間がかかる
- ・道具を揃えるのに手間と費用がかかる
一番の問題は「完全駆除が難しい」ということです。
例えば、建物内に巣食っているシロアリの9割を駆除できたとしましょう。
しかし、シロアリは数万~100万という規模でコロニーを形成しているため、繁殖の条件さえ残っていればそこから再び数を増やすことは容易なことです。
建物をシロアリの被害から守るためには「完全駆除」が必要であり、これはシロアリ駆除に詳しくない人では極めて難しいことなのです。
業者はきちんと選定する
さて、業者にシロアリ駆除を依頼することを決めたら「どの業者に依頼するかを決める」段階になります。
どの業者でも良いというわけではなく、少しでも満足感の高いサービスを受けるためには以下のポイントで駆除業者を選定することをおすすめします。
- ・料金相場を調べておく
- ・複数社で見積もりを依頼する
- ・調査や見積もりの際のスタッフの対応を確認する
- ・中小規模の業者も選択肢に入れる
- ・実際に作業する業者はどこなのか確認する
- ・口コミは鵜呑みにしない
詳しくは別記事「シロアリ駆除はどの業者に依頼するべき?おすすめの業者と業者の選び方を解説」なども参考にしてください。
悪質業者にひっかからないように注意する
シロアリ駆除を業者に依頼するうえで最も重要なことは「悪質業者に依頼しない」ことです。
悪質業者に依頼してしまうと、以下の被害を被ることになるでしょう。
- ・安い価格設定でありながら、施工後に追加料金などを請求される
- ・不要な施工で料金を高くしようとする
- ・シロアリ駆除の技術力に乏しい
- ・調査説明の内容に虚偽が含まれている
悪質業者を見極めるポイントは以下のとおりです。
- ・ホームページが無い
- ・訪問販売や電話勧誘してくる
- ・設定価格が異常に安い、または大幅な値引きや無料キャンペーンをアピールしてくる
- ・とにかく点検や契約を迫る
- ・見積もりや説明が不明瞭、または説明しようとしない
- ・やたらと不安を煽ってくる
- ・同業者(他の駆除業者)の悪口を言う
- ・過剰なサービスを提案してくる
- ・「日本しろあり対策協会」の登録業者ではない
これも別記事「シロアリ駆除はどの業者に依頼するべき?おすすめの業者と業者の選び方を解説」で詳しく解説していますので参考にしてください。
まとめ
羽アリのすべてがシロアリであるとは限りませんが、自宅近くで羽アリが大量発生しているのであれば警戒が必要なことは間違いありません。
シロアリによる被害を大きくしないためには、できるだけ早めにプロの力を借りることをおすすめします。